不動産売却にかかる税金!税金の種類や節税対策につながる控除を解説

不動産売却にかかる税金!税金の種類や節税対策につながる控除を解説

不動産売却をすると、手続きや売却益にかかる税金があります。
スムーズに不動産売却を進めるためにも、支払いが必要になる税金の種類は把握しておきたいことのひとつです。
また、不動産売却に関連する税金には、節税対策につながるポイントもあります。
今回は、不動産売却する方が知っておきたい税金の種類や計算方法、節税対策になる控除について解説します。

不動産売却時の税金の種類!売却をスムーズに進める対策の知識

不動産売却時の税金の種類!売却をスムーズに進める対策の知識

不動産売却をスムーズに進める対策の一環として、納税する可能性がある税金の種類をおさえておくことは、大切です。
大別すると、不動産売却に関連する税金の種類は、「手続きにかかる税金」と「売却益にかかる税金」に分けられます。

手続きにかかる税金

不動産売却を進める際は、売買契約や抵当権抹消など、さまざまな手続きが必要になってきます。
手続きをおこなうときに支払いが必要になってくる税金は、印紙税、登録免許税の2種類です。
印紙税
売買契約の手続きで、売買契約書に対して課税される税金が、印紙税になります。
不動産売却をすると、売買契約書は2通つくられ、売主と買主はそれぞれ1通分の印紙税の負担と書類の保管をおこないます。
支払う印紙税は、契約書に記載された契約金額に基づき、段階的に納税額が上がる仕組みです。
たとえば、契約金額が1,000万円から5,000万円以下の場合、本則税率は2万円ですが、節税対策になる軽減税率が適用されると1万円です。
5,000万円から1億円以下になると本則税率は6万円、軽減税率適用後は3万円に上がります。
登録免許税
不動産の権利は、登記をすることにより、公的に所有者であることを第三者に主張できるようになります。
不動産売却をした売主の場合、関連する登記の種類は、金融機関が不動産を担保に設定した抵当権をはずす抵当権抹消登記です。

売却益にかかる税金

不動産売却をして生じた売却益を譲渡所得といい、譲渡所得に対して、譲渡所得税と呼ばれる税金が課税されます。
譲渡所得税は単独の税金の名称ではなく、譲渡所得にかかる所得税と住民税、復興特別所得税の3種類の税金に対する総称です。
住民税と復興特別所得税は、地方税の一種です。
復興特別所得税は、東日本大震災の復興のための財源として設けられたものであるため、2037年までの所得にかかる時限的な種類の税金になります。
また、譲渡所得税は、不動産売却するタイミングでも納税額が変わってくるため、節税対策の一環として計算方法などの知識を備えておくことは有用です。

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思わぬ税金の出費を防ぐ対策!自分でできる不動産売却益の計算

思わぬ税金の出費を防ぐ対策!自分でできる不動産売却益の計算

売却益が生じた場合には、譲渡所得税の支払いが生じる可能性があります。
税金に関連する計算を知っておくと、不動産売却の利益に対する実質的な見通しがつきやすく、思わぬ出費に焦るといった事態をさける対策にもつながります。

不動産売却益の計算式

不動産売却をすると、売却益が所得としてあつかわれ、税金の課税対象です。
ここで押さえておきたいのが、売却益とは、売却価格とは異なる点です。
不動産売却益は、「①売却価格-(②取得費+③譲渡費用)-④控除金額」の計算で、自分で算出することができます。
この計算式で割り出した金額が、譲渡所得となります。
計算式に当てはめる売却価格は、不動産を譲渡した金額のことです。

取得費の計算

②の取得費とは、不動産売却した物件を取得したときに必要になった費用です。
たとえば、購入代金や建築の代金のほか、購入時の仲介手数料や土地の改良費、リフォームの費用などが含まれます。
取得費が多いと、その分、譲渡所得が減ることになり、節税対策につながります。
そのため、売買契約書や取得時の領収書などを確認して、もれなく合算しましょう。
購入当時の価格や費用が分からないときには、「売却価格×5%」の計算で割り出した金額を概算取得費にすることも可能です。
また、建物の取得費については、時間経過による価値の減少を考慮して消耗した分の価値を引く、減価償却費の計算が必要です。
減価償却費の計算式は、「建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数」になります。
この計算式に当てはめる償却率は国が定めており、建物の用途や構造によって違います。
たとえば、マイホームとして使う木造住宅の場合、耐用年数は33年で、償却率は0.031です。

譲渡費用の計算

不動産売却益を求める計算の③譲渡費用とは、不動産売却したときに必要になった費用です。
不動産売却時の仲介手数料のほか、印紙税、立ち退き料などが含まれます。
譲渡所得を抑えることが、税金を抑える対策になるため、譲渡費用もできる限り計上することが大切です。
譲渡費用の確認は、売買契約書などを見ると確認できます。

控除金額を差し引く

④控除金額も、不動産売却益から差し引くことが可能な金額です。
一定の要件を満たすと、大幅な節税対策になる特別控除の適用ができます。
控除の特例には複数あり、それぞれ要件が異なるため、事前の確認が重要です。
物件によっても、利用できる特例は異なりますが、いずれも節税対策になり得るものです。
取得費と譲渡費用控除金額を差し引き、残った譲渡所得が譲渡所得税の課税対象になります。
控除金額を差し引いた時点で、譲渡所得がゼロ、もしくはマイナスになった場合には税金は課税されません。
なお、譲渡所得税の計算は「譲渡所得×税率」で求めることができます。
不動産の所有期間が5年以下であれば税率は39.63%、所有期間が5年を超える20.315%です。
所有期間で税率が大きく変わるため、所有期間が5年超に近い場合などは、不動産売却のタイミングを見定めることも節税対策につながります。

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不動産売却益を控除!税金対策となる特例をご紹介

不動産売却益を控除!税金対策となる特例をご紹介

不動産売却をして売却益が生じた場合でも、有効な節税対策になる控除があります。
ここでは、税金を抑える対策となる特別控除などの特例について、ご紹介します。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除の特例は、マイホームを不動産売却したとき、売却益である譲渡所得から3,000万円まで控除できる制度です。
大きな節税対策になり得る控除であり、売却益が生じたときにかかる税金の譲渡所得税を免除できる可能性もあります。
特例の控除を計算式に表すと、「(譲渡所得-3,000万円)×税率」で譲渡所得税を算出できます。
つまり、譲渡所得が小さくなる分、節税対策につながるわけです。
不動産売却をした譲渡所得が3,000万円以下の場合、3,000万円特別控除を利用して譲渡所得がゼロ以下になると、課税は免除となります。
なお、特例の要件には、マイホームに居住しなくなってから3年以内に不動産売却することや、不動産売却の当事者が親子などの特別な関係ではないことなどが挙げられます。

相続空き家の3,000万円特別控除

不動産売却した物件が被相続人が居住していた家で、相続か遺贈により取得した場合、利用できる可能性がある特例が相続空き家の3,000万円特別控除です。
相続空き家の3,000万円特別控除も、一定の要件をクリアした場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。
ただし、マイホームの3,000万円特別控除とは、適用要件が異なります。
たとえば、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋で、一定の耐震基準をクリアしていることや、売却代金が1億円以下であることなどが要件です。

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まとめ

不動産売却をおこなうと、印紙税や登録免許税のほかに、譲渡所得税を支払う可能性があります。
譲渡所得税は、課税対象となる売却益を抑えることが、節税につがなるポイントです。
譲渡費用や取得費などをできるだけ計上するほか、3,000万円特別控除を適用できると大きな節税効果が期待できます。